大阪地方裁判所 昭和42年(ワ)6585号 判決
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〔判決理由〕以上の次第であるから、被告会社は、原告に対し、本件請負契約の不履行により、原告に生じた損害を賠償すべき義務があるというべきところ、原告は、右債務不履行により、精神的損害を受けた旨主張し、その慰藉料として、被告会社に対し、金五〇万円の請求をする。
ところで、一般に財産上の義務の不履行を原因とする損害の賠償においては、たとえ、その不履行により、相手方が精神上の損害を受けたとしても、右損害は、財産的損害が回復されることにより、同時に、その慰藉がされる性質のものであり、ただ、財産的損害の回復により、なお、慰藉されないような精神上の損害については、不履行者において、かかる特別な事情による損害を予見し、または予見できた場合に限り、これを賠償すべき義務があるものと解するのが相当である。しかして、これを本件についてみるのに、原告が本件請負契約の解除により、財産上の出捐について、その原状を回復できるものであることは、すでに判示したところから、明らかである以上、原告が被告会社の債務不履行により、原告の居宅の建築が遅延し、精神上の苦痛を受けたとしても、この事実から、被告会社に対し、賠償を命ずべき精神上の損害を受けたものとは認められない。したがつて、原告の右請求は、理由がない。(佐藤栄一)